私は口を挟まず、じっとサンの話に耳を傾ける。
「人を助けたくて海賊になったのに、俺は傷つけることしかできない。恨み、妬み、嫉み…不快な感情が混ざる世界で、俺は生きた」
少しずつ傾いてきた太陽が、サンの赤髪を照らした。
真っ赤に輝くその色に、目を奪われる。
「…気付いたんだ。俺はもう、薄汚れた海賊になったんだって」
私の視線を辿ると、サン笑って自分の髪を指差した。
「ララに逢った時は、金髪だったよな」
「…うん。何で?」
私と初めて逢ったときのサンは、確かに金髪だった。
月の光を受けて…今とは違う輝きを放っていた。
「ララと出逢った日、俺は自分に嫌気がさして、海賊団を抜けたんだ。新しい自分になろうと、髪の色を変えた。ロジーって名は、抜けた海賊団で使ってた偽名」
「…そうだったんだ」
「でもララの話を聞いて、自分の悩みはくだらないって思ったんだ」
そう言って、サンが優しく微笑むから、心臓の鼓動が速くなる。


