…夢、なのかな。


そう思って瞬きを繰り返すけど、目の前の光景は変わらない。



ゼンとサンが、真剣な顔で向かい合っていて。


その二人の間を、風が不規則に通っていく。



夢じゃなかったら、私の耳が悪いんだ、きっと。


だって、サンがやっぱりロジーだったとか、そこは信じられるけど。


…サンの私への想いとか、ゼンの…想いとか。


私には、簡単に信じられないよ。



知らない間に速まる鼓動に、私は喉を鳴らした。


一気にいろんなことを聞きすぎて…どうしても夢なんじゃないかと思ってしまう。



静かな空気に、僅かな緊張が感じられる。


黙っていたゼンが、口を開いた。


「―――どうして、そう思った?」


その言葉に、サンが笑う。


「はは、分かるよ」


納得いかないのか、ゼンが顔をしかめると、サンは続けた。