「直接サンから話を聞くのが…一番早いよ」
「………」
何かを訊いたところで、彼がすんなり答えてくれるとは思わなかった。
けど…この複雑に絡まった糸をほどくには、それしか方法がない。
「…うん。行ってくる」
私は小さく頷くと、ジークの家を出ようと歩き出す。
「ララ!何かあったら、すぐに戻って来てね!」
背後から掛けられた声に振り返ると、ニーナが心配そうに私を見ていた。
そんなニーナに、僅かに微笑む。
「大丈夫、ゼンがいるから」
―――ゼンがいる。
そう考えただけで、自然と勇気が出るんだ。
私はジークの家を出ると、早足で南へ向かった。
街の人に何回か道を尋ねながら、小さな丘に辿り着いた。
そこへ向かうにつれて、鼓動が早まっていく。
「……きゃっ」
急な突風に、私は目を瞑った。


