「私たちに、ピッタリだと思わない?」


えへへ、と私はゼンに笑いかけた。


これから始まる、まだ知らない未来を辿る航海。


真っ白な紙に描く、自分だけの地図。



期待に胸を膨らませながら、これからの夢を紡ぐ―――…



「…せっかくだし、唄ってよ」


ゼンは手すりに寄りかかると、私にそう言った。


「うん、もちろんだよ!」


私はすぐに答えると、深く息を吸う。



―――この夜空に。


これからの未来を…夢を託して。



私は、静かに唄い始めた。


私たち人魚の特技といえば、唄うこと。



唄は大好き。


海や風や…花や木々。


世界の全てが、私の唄に応えてくれるから。





物語はまだ、始まったばかり―――…