「…何で?何で"ラー"なんかに…?」
訊きたいことはたくさんあった。
でも、一番最初に出た言葉はこれだった。
私の質問に、ジークは悲しそうに笑う。
「…ララは、"ラー"にいい思い出がないかもしれない。実際最悪なヤツらばっかりだし」
窓の外を眺めるジークの横顔を、黙って見つめる。
「でも、これだけは断言できる」
ゆっくりと私に視線を向けたジークの表情は、昔よりずっと大人びていた。
「―――サンは、最高の海賊だ」
その真剣な瞳を見たら、否定なんかできなかった。
ただ、私の頭はこんがらがるばかり。
ゼンのご両親を襲った海賊は、そのお兄さんなんだよね?
でも、私に優しくしてくれたのも同じ人?
なのに、あの冷たい視線は―――…?
「ララ、逢いに行けばいい」
黙ったままの私を、ジークが促した。


