唇を噛みしめる私を見ながら、ジークは言葉を続ける。
「二人がいるとしたら、南にある小さな丘だと思う」
「…ジークは、あの船長と知り合いなの?」
私の疑問に、ジークは口をつぐんだ。
彼らがこの街の英雄なら、ジークが知り合いでもおかしくない。
…でも、ジークの本名を呼んだりしてたし…二人は知り合い以上のような気がした。
「…ララ、ごめん」
突然の謝罪に、私は言葉を返さずジークを見た。
ジークは瞳を伏せると、自らの腕を捲った。
「え…」
その腕にあったのは―――太陽の、烙印。
「俺、"ラー"だったんだ」
驚いて言葉が出ない私に、ジークは悲しそうに微笑んだ。
「膝を痛めて、抜けさせて貰ったんだけど。…サンは、俺の船長だったんだ」
「………」
ジークが、まさか"ラー"になっていたなんて。
思いもしなかった事実に、困惑が隠せない。


