…夢、なのかもしれない。


けど、肌を突き刺す冷たい風が、夢じゃないと教えてくれる。


「ロジー…でしょ…?」


私の掠れた声が、嫌に大きく響いた。


私たちを取り巻く空気だけ、やけに静かな気がする。


「ロジー?…人違いだろ。俺はサンだ」


冷たい瞳、冷たい口調。


私の記憶の中のロジーとは、限りなく遠いのに。


でも…私の心が、彼がロジーだって叫んでる。


「嘘…嘘でしょ…!?」


「…ララ」


すがるようにロジーを見ると、ゼンが困ったように私の名前を呼ぶ。


ごめんね、ゼン。


私はどうしても…確かめたいの。


「―――ララ!?」


私が一気に走り出すと、ニーナの驚いた声が背中にかけられる。


私が向かうのは、ロジーのもとじゃない。


どこまでも広がる…青い、空。