何だろう、この胸がざわつく感覚は…。


「じゃあ、行こうか」


ジークに連れられ、数分歩くと、港のような場所に着いた。


遠くから見ても大きいと思った海賊船は、近くで見ると大迫力で。


よほど珍しいのか、レキが感嘆の声をあげていた。



海賊船の周りは、たくさんの人々で賑わっていて、それぞれが何かを運んでいた。


それがこの海賊船の戦利品なんだと、すぐに理解する。


「…すごい数ね。そんなに強いのかしら」


海賊たちが街人に戦利品を渡している光景を見て、ニーナが呟いた。



その光景は、どこか不思議だった。


…海賊も街人も、みんな笑顔を浮かべていたから。


この"ラー"は、恐れられるどころか、歓迎されているんだ。


「あ。いたいた、船長だ」


ジークの声で、私たちは一斉にその方向を見る。


船長らしき人物は、ジークの声が聞こえたのか振り返った。