「…ありがとう」
零れ落ちそうになる涙を堪えて、私も微笑む。
ちょうどそのとき、街中に大きな鐘の音が響き渡った。
「何だぁ?」
「時計の音…にしては大きすぎるわよね」
私たちが不思議そうな顔をすると、ジークは「ああ、」と当たり前のように口を開いた。
「到着したんだよ。…この街の、英雄たちが」
…英雄?
眉をひそめた私の背中を、ジークが押す。
「まぁまぁ、見てみればわかるよ」
何が何だかわからないまま、私たちは外へ出た。
そこには既に、たくさんの人が溢れていて。
一瞬にして、私はあるものに目を奪われた。
「―――え…?」
街のほぼ中央に見えたのは、一際大きい…海賊船。
その海賊旗が、突風で激しく靡く。
あのマークは…間違いなく、太陽のマーク。
それじゃあ、この街の英雄は。
信じられないけど…"ラー"なの?


