紺碧の地図



―――けど。


「そういえばララ、みんなは元気か?」


その一言で、背筋が急に凍りつく。


「え…」


「相変わらず騒がしいのかな」


嬉しそうに話すジークとは反対に、私は震え出す。


ジークは、あの出来事を知らないんだ。

まだみんなが…生きてるって、そう思ってる。


「………」


前に進んだと、思ってた。


なのに、両親や…みんなのことを知っている相手に話すのは、予想以上に勇気が必要だった。


「どうした?ララ」


不思議そうな顔で、ジークが首を僅かに傾げた。


ダメだ…ちゃんと言わなきゃ。


「…あ、あの、ね……っ!」


言葉が途切れたのは、何かが視界を覆ったから。


…誰かの温かい手が。


それが誰の手かなんて、私にはもうわかる。


「…無理するなって、言っただろ」


―――ゼン。