好きな人に避けられるような仕草をされるのって、こんなに辛いんだ。
「あ…ごめん、何?」
痛む胸を抑えつけ、私は平静を装った。
私の態度にジークは少し眉を寄せながらも、すぐに口を開く。
「ずっと気になってたんだけど…ララは、海賊なのか?」
探るような視線を向けられ、一瞬怯む。
人魚が海賊だって…なかなか信じられないよね。
「…うん。私は"ルナ"だよ」
そう言い切ってから、少しだけ心配になった。
でも、レキとニーナが微笑んでくれていて、すぐに安心した。
ゼンは相変わらず、無表情で床を見つめていたけど…。
私の答えを聞いたジークは、「そっか…」と呟いた。
「どうして海賊になったのかはわからないけど…元気そうで安心した」
「心配しないで、ジーク。みんないい人たちだから」
そう言って笑うと、ジークも笑顔を返してくれた。


