私の知っていたジークは、この十年の間で、知らない男の人になったみたいだった。
私が返事に困っていた…そのとき。
「あのー。俺たちの存在忘れないでくれます?」
棘のある声が響いて、私は振り返る。
「やだレキ、忘れてなんか…」
「あるだろ!? めちゃ二人の世界だったじゃん!!」
私たちが今いるのは、ジークの家。
ゼンは一旦みんなにそれぞれの班に分かれるように指示を出したあと、私にこう言った。
『…久しぶりに会ったんなら、ゆっくりしてきなよ』って。
その優しい言葉に甘えようと思ったら、レキが「俺も行く!」って言い出して。
そしたらニーナもついてきて。
…で、ゼンが二人に引っ張られて。
結局、私、ゼン、レキ、ニーナの四人がジークの家に押し掛ける形になった。
でも、私どジークが二人で話すのが気に入らないのか、レキが涙目で訴える。
「俺たちを忘れないでララちゃん!なぁゼン!?」


