「お前、ララちゃんをナンパしようなんざ、百年…いや千年早ぇんだよっ!」


「レ、レキ…」


「何!? ララちゃんもしかして俺よりアイツがいいの!?」


「や、そういうわけじゃ…」


勘違いしているレキをなだめながら、私は横目で男の人を見る。


その人は、面白そうに私たちのやりとりを眺めていた。


…そして私は、その人の目元の小さなホクロを見て、ぼんやりとした記憶が鮮明に蘇った。


まさか…


「―――ジーク?」


「へ?何?」


訳がわからない、という顔をしたレキの奥で、私に名前を呼ばれた彼は…微笑んだ。


「思い出してくれてよかった。…ララ」


栗色の癖のある髪、緑に近い瞳…そして、目元の小さいホクロ。


私の目の前にいるのは、かつての幼なじみ。


そう、子供の頃…私があの事件に巻き込まれる前に、よく遊んでいた男の子だった。