「…ララ?」


ぎゅ、と手を握られ、私はハッと顔を上げた。


心配そうに眉をひそめるゼンを見ただけで、胸が締め付けられたように…苦しい。


「…なんでもないよ。ゼンの言葉が嬉しかっただけ!」


悲しみを振り払うように、私は笑う。


この温もりを、離す日が来るなんて考えたくない。


「あ―――っ!! ゼン!お前またララちゃん口説こうとしてんな!?」


「…何の話」


「とぼけんなっ!何だその手はっ!」


レキが突然間に割り込んで来て、ゼンと手が離れる。


ゼンと離れた手は、急に冷たくなった気がした。


「さ、ララちゃん。俺と手をつなご…」


「いっぺん死になさい」


私の手を取ろうとしたレキが、ニーナの拳に吹き飛ばされた。


「いって―――!!」


また騒がしくなる室内に、私はホッとする。



この空間を失いたくない。


この場所に、私はずっといたい。





これが、私の選んだ答えだと。


―――このときは、そう思っていた。