「ゼ、ン…?」


小さく、けど肩を揺らして笑うゼンに、私は驚いて声をかけた。


ゼンは私を見て、その茶色の瞳を細める。


「…気づいたんだ」


「え?」


「光は…幸せは、いつもすぐ近くにあった」


ゼンの視線の先には、いつものように言い合うレキとニーナの姿。


ゼンの昔からの、かけがえのない存在。


「………」


やだな、私。

今、レキとニーナに嫉妬しちゃった。


私だってゼンのかけがえのない存在になりたいけど…二人には勝てないから。


それに、ゼンが愛した人…クレアさんにだって、私が勝てるわけ…


「―――ここにも、光がある」


ゼンの言葉と、手のひらに伝わる温もり。


「え…?」


優しく握られた手のひらの意味。

ゼンの瞳に私が映っている意味。



…ねぇ、ゼン。


今の言葉…私に向けられてるって、自惚れてもいいの?