見事に言い負かされてる私。
…あれ?
でも、ちょっと待って?
「何でゼン…外にいるの?」
誰よりも早く寝室に行っちゃったのに。
ゼンは、さも当たり前かのような顔で、サラリと答えた。
「俺の部屋、この船の至る所に繋がってるから」
「え」
「…緊急時にすぐ駆けつけられるようにね」
…そ、そうなんだ。
じゃあゼンの部屋には、たくさんの出口があるってこと?
「…ねぇ、ゼン」
「見せないよ」
…キッパリと断られました。
まだ何も言ってないのに、また私は顔に出てたらしい。
ム、と口を尖らせる私から、ゼンはゆっくりと視線をずらした。
その視線の先にあるのは、濃く深い闇。
その闇を見つめるゼンの姿が、今すぐにでも消えてしまいそうな気がした。
…どうしてみんな、そんな悲しそうな顔をするの?


