やはり彼女は笑っていて、小さく「ありがとう」と呟いた。


―――この笑顔を、護りたい。


この時俺は、本気でそう思ったんだ。





俺たち四人の航海は、ここから始まった。


不安はあった。

ただ、それ以上に…楽しかった。


近くにある国や街、村や島まで、俺たちは積極的に寄った。


時には危険に晒され、時には新たな出逢いがあった。



気付けば、仲間は知らない内に増えていった。


そんな俺たちの共通点は、身寄りがないということ。


だからか、俺たちの間には、家族のような繋がりがあった。


それが妙に心地よくて、俺の居場所はここなんだと、強く感じられた。



―――そんなある日のこと。



「ゼン…ごめんなさい」


俺は片腕に包帯を巻きながら、項垂れているクレアを横目で捉えた。


その肩は小さく震えていて、今にも泣き出しそうに見えた。