「…ゼン。乗ろう」


レキの言葉に頷くと、船にかかる梯子に手をかけた。


…船の姿は、はっきりと戦いの傷跡を残していた。


どんなに激しい戦いだったのかを、その傷跡は物語っている。


「………」


俺は最後に見た、父さんが倒れていた場所に屈み込んだ。


床に染み付いた、赤い血。


そこにそっと、手を添えた。


「…なぁ、ゼン」


そんな俺の行動を見ていたレキが、ポツリと声を漏らす。


「…何」


「何で、俺たちだけこの船でここに辿り着いたんだろーな」


確かに、俺たち二人だけがこの船に残っていたのは、どう考えても不自然だ。


けど…


"だから生きて、強くなれ"


これが、サンのメッセージだとしたら。


「…生きろ、ってことだろ」


「へ?」


「決めた。…レキ、俺はこの船で海賊を続ける」