紺碧の地図


「"ラー"絡みだと、ゼンは容赦ないのよね」


…"ラー"。


自分が欲しいものなら、何をしてでも手に入れる。


その為なら、どんな犠牲も厭わない。



誰からも、恐れられる存在…





―――『ララ!』





脳内に響く声に、私の体がびくっと反応する。


激しく動き出す心臓。


焼け付くように疼く、背中の傷跡―――…



「ララ?大丈夫?」



ニーナの声に、私はハッと我に返った。


「…だ、大丈夫。何かぼーっとしちゃってた」


とっさに作り笑いを浮かべた私に、ニーナは怪訝な顔をした。


「具合悪そうよ?あたし、ミルクに何も入れてないけど…」


手元のカップの中を覗くニーナに、私は話しかけた。


「…ごめん、外の空気吸ってきてもいい?」


そう言って立ち上がると、ニーナが心配そうに眉をひそめた。