頬を膨らませる私に、ニーナはお腹を抱えながらそう言った。
「依頼されれば悪者退治でも何でもするけど、基本は首突っ込んだりはしないわ」
「え…そうなの?」
"ルナ"って、自ら進んで世界の為に動いてると思ってたんだけど…。
「その場所には、その場所のルールが存在するの。そこに干渉したら、後々厄介なのよね」
過去に何かあったのか、ニーナは深いため息をついた。
そこで私は、思い出した。
「…でも、ゼンは助けてくれたよ?」
あのとき。
海賊に追われていた私を、ゼンは何の躊躇いもなく助けてくれた。
ルールとか、気にしてなかったと思う。
「…ゼンが?」
ニーナが驚いた声を出したので、私は首を傾げた。
「うん。"ラー"に捕まりそうになってた私を、助けてくれたの」
この言葉に、ニーナは納得したようにいつもの顔に戻った。


