いつから、だろう。


いつからレキは、そう疑問を抱いていたんだろう。



もし、大分前からだとしたら。


だとしたら、レキは…どういう気持ちで俺と接していたんだ?



―――コン、コン



遠慮がちに聞こえたノックの音に、俺は顔を上げた。


扉の向こうが見えるわけじゃないのに、その向こうに、誰がいるのか。


それが何故か…わかってしまった。


「…どうぞ」


そう声をかけると、少し間をあけてから、ゆっくりと扉が開く。


複雑な表情で扉の向こうから顔を覗かせたのは、予想通りララだった。


「…ゼン…。えっと…あの…」


「…とりあえず入れば」


目を泳がせながら、しどろもどろに話すララに、俺は苦笑しつつもそう言った。


ララは一瞬躊躇うように俺を見てから、小さい声で「お邪魔します」と言って扉を閉めた。


「…そこ、座れば」


「あ…うん」


俺の向かい側の椅子に腰掛けたララは、何かを決意したように俺を見据えた。