・ゼンside・



ガラスの砕け散る音が、嫌に耳に響いた。


顔を上げると、鏡に映る疲れきった自分の姿。


その姿を見て、俺は苦笑した。


「―――は…情けない」


床には砕け散ったガラスの破片と、剥き出しになった木片。


子供じみた怒りのぶつけ方に、笑いたくなった。



自分でも、何に対して怒りを表しているのかわからない。


…いや。誰に、か。


レキなのか、あいつ…サンなのか。



―――それとも、俺自身なのか。



わからないからこそ、余計に苛立つ。


俺は片手で髪を乱暴に掻くと、近くの椅子に腰掛けた。



"―――お前が、海賊を続ける理由だよ"



目を瞑ると、脳裏に響くレキの言葉。


「―――っ…」


耳を塞ぐ代わりに、唇を強く噛みしめた。