私が首を傾げると、ニーナが続けた。


「絶滅したとされている、天空人の末裔…それが、ゼンなのよ」


「………え!?」


驚きのあまり、素っ頓狂な声を上げる私に、ニーナは苦笑した。


「天空人は、その底知れぬ生命力から、人々に恐れられていたの。今でも排除の対象とされてるわ」


私は、フォーグでゼンが重傷を負ったのに、すぐに回復したことを思い出した。


「ゼンのご両親も、当然天空人で。…だから、狙われて命を落とした」


静かに話すニーナの声が、やけに大きく聞こえる。


知らず知らずのうちに、心臓が脈を打つ。


「…誰に、狙われたの?」


その答えは、聞かなくてもわかる、最悪な結果。



「―――海賊。…"ラー"よ」



…目眩がする。


ゼンのご両親も、私の家族と同じように、"ラー"に殺された…。


「だから、ゼンは"ラー"に対して容赦ないの。けどそれ以前に、海賊に対して抵抗があるはずなのに…」


それでも海賊を続けるゼンの目的は、何なのか。


それをレキは…知りたかったんだ。