私の背中には、確かに痣があった。


小さい頃からあった、十字架のような痣。


その上にできた…あの過去の事件のときの、痣。


「そっか…」


無意識に、私はそう呟いた。



背中の痣は、私が最も嫌いな私の一部だった。


その痣を見るたびに、嫌な記憶が鮮明に蘇るから。


…けど、もうひとつの痣には、そんな意味があったんだ。



私は、いくつの運命を背負っているんだろう?



「…アルザは知ってたんだ。神の子には、特有の痣があることを」


ゼンの言葉で、あのとき…アルフィザで私が倒れてから、目が覚める直前のことを思い出した。


あのとき部屋にいたアルザとゼンは、何かを話してて…確か、私の名前が出てた。


目を覚ました私を見て、二人は口をつぐんで顔を見合わせた。


その違和感の理由が…今わかった。


「ゼン…」


小さくゼンの名前を呼ぶと、私は真っ直ぐにその瞳を見た。