暖炉の中で燃える薪木が、パチパチとはぜる音が響く。


「え…?」


先程の嵐で冷えきった体を温めようと、毛布にくるまっていた私は、突然知らされた事実に耳を疑った。



いつになく真剣な表情をした、ゼンの姿。


大きく巻かれた包帯と、露わになっている無数の傷跡が痛々しい。


「…だから、もう一度言う」


理解できていない私に、ゼンは再度その言葉を口にした。


「あんたは、人魚の神の子だ」


…人魚の、神の子。


そんなことをいきなり言われたって、信じられない。



何も言葉を発せずにいる私に、暖炉のそばに腰かけていたニーナが立ち上がった。


「…ララ。この世界には三人の神様がいることを、知ってる?」


静かに首を横に振る私に、ニーナは壁に掛けられた絵画を指差した。


今まで全くその絵を気にしていなかった私は、初めてそこに描かれたものを見た。


空、大地、海…そして、三つの人の姿。