敵の刃が腹部を貫く感覚が、伝わる。
その後すぐに、鈍い痛みが身体中を襲う。
「…そんなに知りたいなら、教えてやるよ」
敵にもたれかかるように倒れた俺の耳元で、
「―――"サン"」
俺が最も憎いと思う男の名が、静かに呟かれた。
…あんたは、一体。
どれだけ俺を惑わせ、苦しませれば気が済むんだ…?
敵が一気に剣を抜くと、俺はその場に倒れ込んだ。
その衝撃で、激痛が走る。
「―――、」
痛みと悔しさで、唇を噛んだ。
滴り落ちる水滴のせいか、朦朧としてきた意識のせいか、視界がぼやける。
その時だった。
「―――ララッ!!」
ニーナの焦りを含む声が耳に届き、俺はゆっくりと頭を動かした。
キッチンにいたはずのララが、戦場にふらりと入り込んで来るのが目に入る。
その姿は…赤く染まっていた。


