剣を握る両手に力を込めたその時、またしても船が揺れた。
さらに、ぽつりぽつりと、雨が降り始めた。
「………」
…一体、何が起こっている?
雨は徐々にその勢いを増し、容赦なく俺たちに降り注ぐ。
ぐ、と足に力を込め、敵との距離を一気に縮める。
「…っ!」
キィンと響いた金属音は、雨が床を打ちつける音に紛れた。
「何だ?お前、急にやる気に…」
「…さっさと終わらせたいからね」
悪天候の中の戦いほど、危険なものはない。
それに…さっきから嫌な予感がしてならない。
「は…そんなに赤髪の名が知りたいのか?」
嘲笑うかのように、敵が呟いたその言葉。
情けないことに、その言葉を聞いた俺は、次の動きが遅れた。
「………!!」
ぶつかり合っていた剣を弾き、敵は体勢を崩した俺に斬りかかった。
ほんの僅かな気の迷いが、命に関わるということは、百も承知のはずだった。


