「…想像してみろ。お前らが思ったように、見た目で金を持ってそうだと思う輩が、オレらの船を襲撃する」
気のせいか、相手の海賊たちは船長の言葉を聞いて、震えているように見えた。
「だが、船の中は空。何もないことを知ったら…"ラー"の性格上、どうなると思う?」
「…確実に、船ごとやられるな」
ゼンの答えに、船長は「そうだ」と悔しそうに呟いた。
「オレらを襲ったやつらは、自分の手を汚さず、オレらを消そうとしてる」
…金目のものを、奪うだけ奪って。
少しの希望も残さない。
そんな卑劣なやり方に、目眩がする。
「本当に、胸くそ悪い野郎だった…あの赤髪の男は」
吐き捨てるように呟かれた言葉に、一番反応を示したのは…ゼンだった。
「赤髪…!?」
それまで冷静さを崩さなかったゼンの声に、動揺が現れた。
その様子に違和感を覚えたのは、私だけじゃないはず。


