いつもと変わらないレキの姿。


なのに、今はとても儚く…脆く見えた。



「…ゼンを救えるのは、ララちゃんしかいない」



レキの瞳は、何を映しているんだろう。


泣き出してしまいそうな笑顔を浮かべて、レキは闇に溶けた。



―――私を縛りつける言葉を、その場に残して。





◆◆◆


翌朝。


Queen号はまだ、海の上を風を受けて走っている。


「ぎゃははは!マジで!?」

「そうそう、それがさー…」

「あっ!俺の飯とっただろ!」


がやがやと賑わう朝食の席で、私はぼーっとパンを頬張っていた。


昨夜、レキの言葉をいくら頭で考えてみても、答えは出なくて。


考え疲れた私は、知らない間に寝てしまっていた。


「………」


横目で、リジェとふざけあっているレキの姿を捉える。


昨日の悲しみに溢れた表情は、もうどこにもなかった。