その笑顔が、一人にして欲しいように見えた私は、
「ん、わかった。風邪ひかないようにね」
そう言い残して、ニーナの元へと小走りで駆け寄った。
部屋に入った瞬間、暖かい空気に包まれる。
私は、ほっと息を吐き出すと、近くのソファに腰掛けた。
「他のみんなは?」
私がそう訊ねると、ニーナは食器棚からカップを二つ取り出しながら答えた。
「各自の部屋に戻ったわ。ほとんど寝てるんじゃない?」
…そういえば。
「ねぇニーナ、"Queen号へようこそ"って言ってたけど、Queen号って…」
「ああ、この船の名前よ」
はい、と渡されたカップを手に取ると、私はお礼を言ってから続けた。
「そうなんだ。何で"Queen"なの?」
何気なく問いかけた言葉に、ニーナの顔が強張った。


