「ララちゃ~…ぐげぐほぁあっ!!」


私に抱きつこうとしたレキは、ニーナの鉄拳を食らって吹き飛んだ。


…いた、痛そう。

思いっきり壁に頭打ったよ?


「ララ、大丈夫だった?」


「あ、うん。私よりレキが…」


「放っときなさい、あんなバカ」


相変わらず、ニーナのレキに対する態度は変わらない。


けど、この"変わらない"光景が、今の私にとって一番必要なものだった。


「そういえば、ゼンは?」


ニーナの言葉に、体が過剰に反応する。


…変わってしまった、私の心。


それは紛れもない事実で、だからこそ…認められないものだった。


「ゼンは…国王様に別れの挨拶に行ったよ」


作り笑顔を浮かべたまま、私はこれまでの経緯を、ゼンから連絡を受けて集まってきた仲間に話した。


アルザの狂言誘拐から、盗賊の乱入…アルザとロイの和解まで、全部。


たったひとつ、私の中に芽生えた感情だけを除いて。