「シーザ…シーザッ!」


「待って、アルザッ…」


走り出しそうになるアルザを、私は必死で引き止める。


どうしよう、どうしよう…!


何としても、アルザの命は護らなくちゃ。



全然回らない思考回路で、必死にこの場を切り抜ける方法を考える。


でも、考えても考えても、いい方法なんか何一つ浮かばなくて。


「うっ…」


「シーザ!!」


アルザの叫び声で、私はハッと顔を上げた。


アランの上に覆い被さるように、ゆっくりと…シーザの体が傾いていく。


「アラン…シーザ…!」


アルザの頬を、一筋の涙が伝った。


お頭は、床に倒れる二人を一瞥すると、私たちに視線を移した。


「さて、どーすっか…。このまま国王に、身代金でも要求するかな」


びくん、と反応するアルザを庇うように、私は前に出た。


背中から、アルザの震えが伝わってくる。