「し、しかしっ…」


未だ困惑の表情を隠せずにいるロイを一瞥し、俺は口を開く。


「…あんたがそう思ってても、アルザはそう思ってないかもしれない」


必要とされているか、されていないか。


問題はそこじゃない。


…自分が、どうしたいかだ。


「自分の気持ちを伝えないと、いつまでたっても出口は見えない」


それは、ロイに向けた言葉であり、過去の自分にも向けた言葉。


…他人事に口出しするのは、避けていたのに。


これも、誰かさんの影響か…。



ふと、ララの顔が浮かぶ。


きっと今も、おそらく一緒にいるであろうアルザに、お節介なことを言ったりしてるんだろう。


「………ゼン様」


ロイはきゅっと唇を結ぶと、早足で駆け出した。


「…こっちです!」


俺はふっと笑うと、ロイの後を追って駆け出した。