「髪飾り…」
アルザがつけていた髪飾りだった。
「これが落ちていたそばに…血痕も…」
「………」
何か事件に巻き込まれたとみて、間違いなさそうだ。
ララと逢ってから、どうも面倒に遭遇することが多い。
―――ふと、嫌な予感がした。
「…ゼン様?」
顔を歪ませているロイの前を通り過ぎ、俺は隣の部屋の前で立ち止まった。
…まさか、な。
考えすぎか…。
そう思いつつも、部屋の扉を軽くノックする。
「………」
返事は、ない。
「あっ、ゼン様!? そこはララ様のお部屋っ…」
ロイの制止も聞かず、俺はドアノブに手をかけ、扉を開いた。
…そこにあるはずの姿が、どこにもない。
「………はー…」
嫌な予感が的中してしまったことで、俺は額に手をあて、ため息をついた。


