・ゼンside・
窓辺から、朝日が差し込む。
ゆっくりと体を起こすと、ベッドが軋んだ音を立てた。
「………」
こんなにしっかりとした所で休むのは、久しぶりだ。
おかげで、十分な睡眠がとれた。
早めに身支度を整えて、他の仲間と合流しよう。
そう思い、俺は手早く普段着に着替える。
壁に立て掛けていた剣を手に取った時、部屋の扉が開いた。
「ゼッ…ゼン様!」
息を切らして飛び込んで来たのは、王女アルザの護衛…ロイ。
その焦ったような表情から嫌な予感を感じとりながらも、俺は冷静に訊いた。
「…何」
「アルザ様が…いなくなってしまったんです」
「は…?」
いなくなった?
「お部屋にお姿がなく…城内を捜していたら、これが」
ロイがポケットから取り出したもの、それは。


