紺碧の地図


私の問いに、アルザはゆっくりと首を振った。


「…ロイには、感謝している。けどわたしは、仕方がなく護られるのは嫌だ」


…そっか、アルザは。


ロイが自分の意思じゃなくて、"王家だから護る"って考えでそばにいるのが嫌なんだ。


「だから、今回はゼンが先にわたしを助ければ、ロイは役目を果たせなかったことになる」


ロイの性格からして、アルザを護れなかったときのショックは大きいと思う。


それにロイは…アルザに嫌われてると思い込んでるから。


「そうしたらロイは、自らの非力さを自覚し、わたしの護衛を降りるだろう」


「………」


「それがこの誘拐の目的であり、わたしの願いだ」


ロイに、自由になってほしい。


家系に縛られているロイを、自ら突き放すことが、ロイのためだって…アルザは思ってるんだ。



でも…アルザ。


ロイの気持ちは、想いは、どうなっちゃうの?