「ロイの家系は、代々王家に仕えることになっているから」
…そういえば、砂漠用の船の上で、ロイがそんなことを言ってた気がする。
「だから、ロイは自ら望んでわたしのそばで護衛をしているわけではないんだ」
ふ、とアルザは乾いた笑いを漏らす。
その笑い方は、遊び盛りの少女のものとは思えないほど大人びていた。
「なのに、張り切って。鬱陶しいくらい、わたしに付きっきりだ」
…ねぇ、アルザ。
「突き放しても突き放しても、わたしから離れようとしない」
あなたは、どうして。
「どんなに面倒を起こしても、絶対にわたしのそばを離れないんだ」
どうしてそんなに、泣きそうなの―――…?
「…アルザ」
そんなアルザを見ていることに耐えられなくて、私は名前を呼ぶ。
どこか遠くを見つめていたアルザが、その瞳を私に向けた。
「アルザは、ロイに世話されるのが嫌だったの?護られるのが嫌だった?」


