「泊まっていけばいい!だろう?父上」


「そうだな。ゆっくりしていきなさい」


アルザと国王様のご好意により、私とゼンは王宮に一泊することに。


レキとニーナには、あとで連絡するってゼンが言ってた。



借りた部屋着に、借りた部屋。


さぁ寝よう、と思っても、なかなか寝付けなかった私は、そっと部屋を抜け出した。


「…は―――。寒い…」


両手に息を吹きかけたあと、私は冷たい空気を感じて身震いした。


砂漠の夜は、冷え込む。


昼間の焼き付けるような日差しが嘘のように、ひっそりと身を隠す。



ひんやりと冷たい空気が、王宮の中を支配していた。


その中を、私は行く宛もなく歩きさまよう。



「―――…」



…?


ふと、誰かの話し声が聞こえた気がして、私は足を止めた。


そっと目を伏せて、耳を澄ます。



「――…、―――…」



やっぱり、聞こえる。


けど、この声は―――…