「…じゃあ、俺たちは仕事あるから」


入国してすぐ、ゼンは自分の腕にぴったりとくっついているアルザにそう言った。


途端、アルザは顔をしかめた。


「仕事?」


「…そう。レキ、ニーナ、指示を…」


「嫌だっ!!」


ゼンの言葉を遮り、アルザが叫んだ。


ゼンの腕をぎゅっと抱いて離さないアルザに、ロイが困ったように口を開いた。


「アルザ様、そのような我が侭を言っては…」


「うるさい、ロイッ!」


キッ、と睨むアルザに、ロイは完全に困り果てていた。


助けを求めるように、ロイが私たちに視線を向ける。


「…ね、アルザ。私たちは仕事をするために、この国に来たの」


私の発言を耳にすると、アルザの視線がロイから私に移った。


けど、その視線はきついまま。


「…気安く呼ぶなっ」


…え?


アルザはそう言うと、すぐにつーんとそっぽを向いてしまった。


…私、何かした?