「…ロイ。そこまで心配する必要はないと、いつも言っているだろう」


「しかしっ…」


「護衛は貴様だけじゃない。ゼンたちだって信頼できる」


アルザはちらりとゼンに視線を送ると、再びロイへ向き直った。


「そういうわけだ。王女だからと、こそこそするなんてわたしは嫌だぞ」


ロイは反論しようと口を開いたけど、何も言えないのか、悲しそうに瞳を伏せた。


「…わかりました。くれぐれも、離れないようにお願いします」


「ん」


短く返事をすると、アルザはゼンに近づき、腕を絡ませた。


「よろしく、ゼン!」


「………」


ゼンはげんなりとした表情でため息をつき、アルザと一緒に歩き出した。


「…ロイ、かなり哀れね…」


一人ぽつんと立っているロイの後ろ姿を見て、ニーナが呟いた。


私は何とも言えずに、「んん…」と唸る。


「こればっかはアイツがどーにかするしかねぇよ」


私の隣で、レキが言った。