砂漠の国、アルフィザ。


アルザの操縦のおかげで、船は無事、予定よりも早くアルフィザに到着した。



「到っ着―――!」



んーっ、と大きく伸びをしながら、レキは晴れ渡る空を仰いだ。


ミュレを出発したのが夕刻で、アルフィザに着いた今はお昼時。


ミュレよりも何倍も強い日差しが、私たちに降り注ぐ。


「よし、さっそく入国するぞ!」


明るい声を響かせるのはアルザ。


さすが砂漠生まれだけあって、この厚さの中でもけろっとしている。



よし、と意気込んで歩き出そうとしたアルザの肩を、ロイが掴んだ。


「お待ち下さい、アルザ様」


「…何だ?」


アルザは不機嫌そうに振り返ると、ロイの腕を振り払った。


本当に、アルザはロイに冷たい。

何でだろう?


「貴女は、この国の王女です。護衛の少ない今、堂々と正面から入られては危険です」


真剣な表情で話すロイに、アルザはため息をついた。