「ふざけてねぇ。俺が決めた。…文句でも?」


イズラはそう言うと、腰にある長剣をするりと抜いた。


その切っ先を向けられると、司会者は「ひぃっ」と悲鳴を上げる。


「わ…わかった!こんなボロボロの会場、好きにするがいい!」


そう言うが否や、司会者はさっさと走って行ってしまった。


イズラは呆れ顔で、長剣を鞘に収める。


そして、辺りを見渡した。


「あー…、お前ら悪い。俺たちの方針、変えてもいいか?」


少し恥ずかしそうに、イズラは頬を人差し指で掻いた。


イズラの仲間たちは顔を見合わせ、すぐに賛成の声を上げる。


「…すごいじゃん」


わいわいと盛り上がっているイズラたちを見て、ゼンがポツリと呟いた。


その言葉に、私は笑顔で答える。


「ね!やっぱりイズラは…」


「違う。あんたのことだよ」


ゆっくりとこっちを振り返るゼンと、視線が絡む。