「なんとか。ありがとう…ゼン」
ゼンはフッと笑うと、私の後ろにまわり、私の腕を解放してくれた。
「あれ、レキは?」
ゼンがさっきまでレキを支えていたことを思い出し、私は訊ねた。
私の腕を引っ張りながら、ゼンは苦笑した。
「…ニーナから説教くらってる」
立ち上がった私は、「え」と声を上げ、辺りを見渡した。
鬼のような形相で怒鳴るニーナと、真っ青な顔で小さく縮こまっているレキが目に入る。
「あんたねぇ!バカでしょ!? ほんっっっとにバカ!!」
「…はい…バカです…すみません…」
そんなやりとりが耳に届き、私は思わず笑ってしまった。
「…ララさん!」
そこへ、リジェが駆け寄って来た。
口元を切ったのか、血が滲み出ている。
「リジェ!大丈夫だった?」
リジェは息を弾ませながら、何度も頷く。
「俺…本当に、何てお礼言ったらいいか…」


