紺碧の地図


「やばいって…?」


「闇市場じゃ、当然誰かが暴れだしたりするわけだ。それを静める為に、雇われの海賊がいるんだよ」


イズラがそう答えたすぐあとに、雄叫びを上げ、沢山の人が雪崩れ込んで来た。


「…その海賊が、俺たちなんだ」


私は、驚きで目を見張った。


すると、ゼンが表情を固くしたまま、部屋を飛び出した。


「ゼン!」


そのあとを追って、ニーナも部屋を出る。


私は、イズラを振り返った。


「イズラ!お願いっ…」


「わかってる」


私の声を、イズラが片手を挙げて遮った。


「わかってる…俺が止める」


その片手で私の肩を優しく叩き、イズラも部屋を出て行った。


私は、ガラスの向こうの光景に視線を送る。



沢山の人。


ライトの光を浴びて輝くのは、すらりと伸びた長剣。


まるで生きているかのように、人の手によって踊らされ、火花を散らす。