紺碧の地図


そんなイズラの様子もお構い無しに、ニーナはすぐに言葉を続ける。


「あんた特別な客なんでしょ!? なら、ここに売られる人を全部買って、解放してあげるくらいできるでしょっ!!」


「お前…バカ言うな」


感心したのか、呆れたのか、イズラはニーナをまじまじと見た。


「そんなこと…」


「やろうと思えばできるだろ」


突然聞こえた低い声に、イズラは目を見張った。


私とニーナも驚いて、声の持ち主を―――ゼンを見る。


「ゼ…ゼンッ!?」


「…金なら有り余る程あるんだろ?なら、不可能なことじゃない」


今まで沈黙を貫いていたゼンが、急に話し出したことで、私とニーナは困惑した。


イズラが一番戸惑っていて、


「え…、は!? 何?お前男!?」


ゼンを指差しては、説明を求めるように私たちを見る。


仕方なしに、私が説明を試みた。


「ゼンは…えっと、船長で…」


「見ての通り、男だ」