紺碧の地図


「後悔なんかしてない、そう自分に言い聞かせてた。けど実際は…何度後悔したかわかんねぇや」


イズラは自嘲気味に笑うと、頭を掻いた。


「…親父を自分の手で殺したあの日、俺の中で何かが変わったんだ」


会場が沸く。


また一人、買い手が決まったらしい。



イズラがガラスの向こうの光景を、瞳を細めて見た。


「この世界を、信じられなくなった。光がないから、俺は…闇に生きようと思ったんだ」


三人目が、闇市場の中央に連れてこられた。


今度は少年で、その表情は全てを諦めてしまったかのように―――無表情だった。



私は何故か、その少年に、幼い頃のイズラの姿を重ねた。


光を失い…闇に堕ちてしまったイズラ。



イズラも私と同じ気持ちを味わったんだ。


でも―――…



「あきらめないで、イズラ」



驚いたように、イズラは目を丸くして私を見た。