紺碧の地図


会場に、次々と金額を叫ぶ声が行き交う。


ガラスの向こう側で起きている事態に、ただ私は呆然としていた。


「55!」


「やっ…、誰か助けてぇぇぇっ!!」


少女の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。


思わず私はガラスに近寄り、声を上げた。


「…っ、やめて!!」


精一杯の大きな声で叫んだ。


なのに、向こうには届かない。


「やめて!! やめてよ!! どうしてっ…」


「…ララ」


私は滲んだ視界で…ゼンを見た。


悲しげに歪んだゼンの表情を見て、涙が溢れた。


「ゼン…ゼンッ…!」


ねぇ、どうして?


こんなことが、どうして普通に行われているの。



次々に沸き上がる疑問を口に出せず、私は嗚咽を飲み込んだ。


視界に、何一つ表情を変えないイズラの姿が映る。


「イズラッ…お願い、止めてよ…」


私の訴えに、イズラは首を横に振った。