当たり前のように、同じ人間を…商品と呼ぶ。
そんなことが、信じられなかった。
『それではさっそく、エントリー№1…マフィー、十歳!』
その言葉に、私は耳を疑った。
けど、再び明るさを取り戻した会場に現れた姿を見て、聞き間違いじゃないと悟った。
そこにいたのは、小さな少女。
必死に泣き叫ぶその子を、一人の青年が押さえつけていた。
「いやぁぁぁああ!!」
小さなその体では、抵抗も虚しく、青年はびくともしない。
そんな光景を見て何も思わないのか、司会者は話を進めた。
『とにかく元気!これからの成長に期待です。さ、どなたかお買い求めの方はいらっしゃいませんか?』
司会者は、くるりと観客席を眺め、問いかける。
一人の人が手を高く掲げ、叫んだ。
「20アクト!!」
―――え?
「25!」
「32アクト!」


