乱暴に扉が開かれ、数人の男の人が部屋に入ってきた。


「ちょっ、何…痛っ!」


ニーナの小さな悲鳴が、部屋に響く。


私とニーナは、すぐさま両手を後ろで縛られた。


腕を掴まれ、部屋の外に連れ出される。


「あ…」


部屋から出ると、ちょうど隣の扉からゼンが出てきた。


同じように、両手を縛られている。



すぐ近くの壁に寄りかかっていたイズラが、ゆっくりと背中を離した。


「間もなく、お待ちかねの闇市場が始まる」


イズラは得意の笑みを浮かべ、私たちに背を向けて歩き出した。


周りのイズラの仲間に促されながら、私たちもあとに続く。



階段を下り、渡り廊下に出た。


どうやら、他の建物とつながっているらしい。



それほど距離のない渡り廊下を抜けると、狭い通路が左右に続いていた。


「…こっちだ」


イズラが進む方向に、船員の一人が首を傾げた。