「…最低よ、あんたたち」
イズラが語り終えると、ニーナが吐き捨てるように言った。
頬には涙の伝った跡があり、瞳は怒りに燃え上がっていた。
「だから言ったろ。気持ちのいいもんじゃねぇって」
はは、とイズラは笑って両手を上げた。
傷だらけの手のひらが、過去の惨状を物語っていた。
イズラが、黙り込んでいる私の方を向き、口を開いた。
「…これで満足か?お嬢さん」
その言葉に、私は頷きそうになるのをやめ、代わりにこう言った。
「最後に、もう一つだけ訊いてもいい?」
「はぁ?」
イズラは「何だよ」と呆れ顔で言った。
「イズラは、後悔してないの?」
一瞬、イズラは瞠目したあと、すぐにバカにしたように笑った。
「…後悔?俺が?何で後悔なんかしなきゃなんねぇんだよ」
イズラの言葉に、ニーナが「最低」と小さく呟いた。